釜ヶ崎で過ごした1日
みなさんこんにちは! 国内研修生の武部です。
先日、大阪市西成区で行われた釜ヶ崎研修に同行させていただきました。
今回は、研修生の姿でも、調べて出てくる釜ヶ崎情報でもなく、私が目にしたもの・感じたことをそのままお届けできればと思います。
【一日の流れ】
7:30~ 炊き出し準備 ≪ in 三角公園 ≫
11:30~ 炊き出し開始
12:30~ 片付け
14:00~ こどもの里への訪問
20:00~ 夜回り ≪ in 釜ヶ崎・なんば ≫
この日は、3つの研修先でそれぞれ違った側面から釜ヶ崎の歴史や現状についてを知りました。この日まで釜ヶ崎という歴史を知らずにいた私にとって、この1日は驚きの連続でした。50円~の自動販売機。駐輪場では、鍵や盗難への注意喚起ではなく「ここでは座り込まないで」と太文字で書かれた張り紙。集まる人の姿や飛び交う言葉、目にするすべてが異国の地に踏み入れたような感覚でした。

釜ヶ崎に足を踏み入れてすぐのことです。公園のベンチに横たわる男性やお酒を片手に座り込む男性のすぐ隣で、子どもたちや保育士さんたちが楽しそうに鬼ごっこをしている光景に違和感を覚えました。
しかし、研修を終える頃には違和感を抱くこともなく、この光景が釜ヶ崎の守られるべき日常であるという考えに変わっていました。
そう考えるきっかけとなった2つの出逢いを紹介します。
- こどもの里で出会った子どもたちの姿
- (野宿者ネットワーク)Nさんのお言葉
【1.こどもの里で出会った子どもたちの姿】
こどもの里・・・認定NPO法人 こどもの居場所作りを目的とし、「遊び」と「学び」と「生活」の場の提供をされています。(学童保育や自立援助ホームなど)通称:さと

特に印象に残っている姿は3つあります。
◎公園で遊んでいたとき、特掃の方と楽しそうに話しをする子がいました。別れ際には、「おっちゃんきーつけてな!」「ありがとう、またね!」と声を掛け合う姿がありました。
(※特掃とは 釜ヶ崎で行われている、高齢の日雇い労働者や生活困窮者に向けた就労支援事業の一つ。仕事内容は、公園や道路の清掃。特別清掃=“とくそう” )
◎さとで絵本を読んでいたとき、手に取った絵本には、“2025年10月 没 〇〇となりのおじいちゃん” という文字が書かれていました。「この絵本は、亡くなった〇〇のおじいちゃんの部屋を掃除していたときに、ベッドの下から出てきた絵本なんだよ」と9さいの女の子が教えてくれました。夜回り学習会に参加した際に教えてもらったそうです。
◎外遊びから帰ってきて、始まった おにぎり作り。夜回り活動で野宿されている方に渡すためのおにぎりです。「熱々のおにぎりを食べてもらう!」と慣れた手つきで握る子どもたちの表情は、鬼ごっこをしていた時の無邪気なものとは違って、たくましくとても温かい表情に見えました。
これらの姿に出逢い、人はすべて “ありがとう” を交わし合う大切な存在であること を教えてもらいました。
【Nさんのお言葉】
Nさん・・・野宿者ネットワークを通じて夜回り活動をされていた方。(※野宿者ネットワークとは 野宿されている方たちを支える市民団体の一つ)
Nさんとの会話の中で、「野宿する人は減らすべきではあるが、野宿をしなければならない人が野宿できる場所であってほしい」というお言葉がありました。また、野宿されている方のことを“仲間”と表現しお話されていたことが印象に残っています。この言葉には、「ただ生きるために取るしかなかった選択を否定しないで。共に働いた仲間や居場所を奪わないで。」という思いが込められているように感じました。また、仲間を見つけては目線を合わせ、「お変わりないですか」と声を掛け言葉を交わす姿から、夜回り活動で重視すべきことは、「あなたは一人じゃないこと, あなたの声を聞く私がいること」を伝え、社会とのつながりを途切れさせないようにすることだと感じました。
この2つの出逢いを振り返った時、“居場所”という言葉が何度も出てきました。
「あなたの居場所はどこですか?」と聞かれたとき、私も含め多くの人は、家族や自分の家、学校、職場、友達などを連想するのではないかと思います。この釜ヶ崎で暮らす人たちは、そんな自分の居場所と言えるものを探し求めここにたどり着いた。だからこそ、この町には色々な人や抱える思いがあって、それを支えようとする人がまた集まるのではないかと考えました。朝、公園で見たあの光景は、「ただ自分の居場所で過ごす人たち」と「外で元気よく遊ぶ子どもたち」。ただそれだけのことで、釜ヶ崎のなんでもない日常であったことが分かりました。
「釜ヶ崎」「あいりん地区」「ドヤ街」など様々な呼び名のあるこの町には、
来てよかったと思える何かが誰にももあるんじゃないかと思うほど、私にとっては印象強く、心が動かされた一日でした。



しかし、私がこの日に見た釜ヶ崎の姿は、すでに変わり果てたものでもありました。
変わり続ける今、直面している課題のいくつかです。
「高齢化により減りつつある野宿者」
「増える外国籍の住民」
「強まる排外主義」
これは釜ヶ崎に限らず、今の日本が、私たちが向き合うべき課題でもあると思います。国際協力に携わる中でも、日本で起きている社会課題から目を背けることがないよう、知る機会を増やすべきであると改めて感じました。その時には、この日のように、歴史を知ることで見えてくる課題の背景を大切にしたいと思います。

これらは、今の私が感じ取ったことです。ピューピューやルビーと抱いた疑問が違うように、きっと同じ時間を過ごしても、人によって、5年後の私であっても受け取る何かは違うと思います。ネット上には様々な人の言葉で溢れていて、事実もあれば、受取手による誤解や偏見も中にはあります。だからこそ、自分の目で見て、当事者と会って話して、自分の考えを持つことが大切だと同行させていただく度に実感しています。
このページが、釜ヶ崎に足を踏み入れたり、調べてみたりするきっかけになればと思います。私も目を離さずにいたいと思います。ありがとうございました。
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