釜ヶ崎研修~日本の路上生活者の現状を知る
2019年一つ目の研修として大阪市西成区の釜ヶ崎で研修を行いました。高層ビルが立ち並ぶ大阪の中心に位置し、先進的で豊かに見える街並みの傍ら、最低限の暮らしもままならない路上生活者の姿から研修生たちは何を感じたのでしょうか。
釜ヶ崎で暮らす「おっちゃん」たちは様々な問題を抱えていることを学びました。釜ヶ崎には仕事を求めてやってきた約400人もの日雇労働者が暮らしています。その労働の多くは建設業や道路工事などの危険が伴うものが多いですが、保険がおりず健康被害があっても病院にかかることができません。また近年では、仕事を求め朝早くからセンターに行っても、高齢化などにより求人は少なく、働くことが出来ないとも言われています。空き缶や段ボール収集で1日10時間歩き回っても1日の収入は1000円に満たず、十分に食事をすることもできません。「ホームレスは危ないから近づくな」「ホームレスは仕事をせず昼間から飲んでばかりの怠け者」というイメージが日本人の中にはありますが、彼らは働きたくて釜ヶ崎に集まるということを知り、驚きました。

案内をしてくださったシスターのマリアさんのお話で印象的だったことは、おっちゃんたちを一番苦しめているのは「孤独」であるということです。様々な理由で家族とのつながりを絶ち、長年釜ヶ崎で生活をした後、寒空の下、亡くなっていった路上生活者を何人もこれまでに何人も見てきたといいます。釜ヶ崎には300人が眠ることのできるシェルターがありますが、仕切りのない二段ベッドがずらりと並ぶだけでプライバシーはありません。また、残りの100人は野宿を強いられているという現状です。彼らは、ホームレス襲撃事件が度々新聞やテレビで取り上げられるように、とても弱い立場で恐怖を感じながら眠る日々を送っています。周りの人々から蔑まれ、仕事が得られず社会から必要とされない苦しさを感じ、飲酒に逃れる人も多いようです。
一方で、夜回り活動でおにぎりの配給をされていると、「自分はいいのでもっと他の人にあげてください、もっとしんどいと思うから」と言う人がいるように、釜ヶ崎に暮らす人たちの助け合いを見て心が打たれる場面もあったそうです。


2つ日目は朝6時から三角公園で行われている炊き出しに参加し、お昼の配給の準備のお手伝いをさせて頂きました。冬の寒い朝でしたが多くの人があつまり炊事をします。「高齢日雇い労働者の仕事と生活を勝ち取る会」さんのメンバーの方々やシスター、路上生活者の方数名で準備をします。農家さんのサポートによって送られた野菜やそばなどを材料に野菜どんぶりを作り、500食を提供することができました。
2日間の研修を終えたふりかえりでは、「家族のために仕事にきたのに、もう家族のもとに帰ることができないのは寂しいな。」とレニさん。「日本はお金持ちなのに仕事ない、お金ない人もいます。変だな。言う事が大事です。」と声を上げることの大切さを主張したサビナさん。孤児院で家族と離れて暮らす子どもたちと接するモーモーさんは「おじいちゃんの心が寂しい病気は孤児院の子どもたちと似ています。」とシュエグニの子どもたちの姿を重ね合わせていたようです。釜ヶ崎の路上生活者の現状を知ることで、日本の社会について知ることができたいい機会になったと思います。また、「日本になくて、村にあるもの」に気づくヒントにもなったのではないでしょうか。
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